令和2年度事業活動

当協会は、未来エネルギー技術の研究開発に貢献することを目的として、平成元年1月20日に設立された。 以来、恒久的な未来エネルギー源と期待される核融合に関する関連技術の動向調査ならびに研究開発支援や若手研究者の人材育成支援をはじめ、 他の未来エネルギーに関する技術やこれらを取り巻く環境についても取り上げ、講演会や見学会などの活動に取組み、 検討や情報交流の場としての役割を果たしてきた。
  今年度も引き続き、核融合をはじめ、未来エネルギーに関するより充実した動向調査、情報交流、 関連研究支援ならびに若手研究者の人材育成支援などの活動を行っていく予定である。

1.研究動向調査および研究推進活動

(1)核融合に関する研究開発及び派生技術動向調査

① 国内外における核融合研究開発動向調査研究 (京都大学)

国際熱核融合実験炉(ITER)および幅広いアプローチ活動(BA)に係わるプロジェクトの動向 を調査するとともに、関連した国内外のトカマク・ヘリカル核融合実験装置の研究活動の成果を国際会議等での報告を活用し、 世界の核融合研究の進展を調査・検討する。

② LHDにおける核融合研究の進展と核融合関連科学技術の産業界への波及効果についての調査研究  

(核融合科学研究所)
LHDにおける核融合研究の進展に資する研究情報の調査とLHD実験で得られた研究成果をより広く国内外の会議等で発表し、 ヘリオトロン配位の優位性や熱核融合炉の将来性の啓蒙活動を行う。 また、核融合炉工学に関連した科学技術情報の調査、研究成果の周知活動を行う。さらに、 核融合研究関連技術の最新動向や産業界への波及効果の調査を行う。

③ 輻射イメージング計測を基盤とした非接触プラズマのエネルギーバランスに関する研究

(核融合科学研究所 向井助教)
将来のヘリカル型核融合炉に必須の非接触プラズマの物理モデルを構築するため、 核融合科学研究所と筑波大学との共同研究により、GAMMA 10/PDX装置にイメージングボロメータ計測を整備して計測基盤を拡充する。 特に不純物ガス入射時の非接触プラズマの輻射損失等のエネルギーバランスに着目した基礎研究を進めることで、ヘリカル型核融合研究の推進に大きく貢献する。

新規: 先進ヘリカル配位におけるビーム放射分光計測に基づく、MHD・乱流揺動の時空間構造の解明

(京都大学 小林助教)
本調査研究では、①乱流揺動を計測するために必要な改良点・要素の調査、②機器の改良、 および③乱流揺動の空間構造計測を目指し、乱流に起因した輸送と閉じ込めとの関連性を調べることを目的とする。 加えて④ヘリオトロンJのみならず、HSXで観測される乱流揺動・乱流起因の輸送の装置間比較を行い、相違点を議論することを計画する。

(2)ヘリカル系核融合研究アーカイブズ調査

(武藤顧問・水内顧問)
ヘリオトロン装置の発明者である故宇尾光治先生の遺された資料について整理と デジタル化を行っている。書庫12ユニットの内、凡そ1ユニットについて既にデジタル化を終了しており、継続して整理とデジタル化を行う。

(3)第20回若手研究者のためのサマースクール ※Zoom開催に変更

(京都大学 長﨑教授/核融合科学研究所 渡邊教授)
エネルギー研究を担う若手人材の育成を目的として、ディスカッションを重視する 合宿形式の夏期スクールを開催する。産学から広範囲に講師を招聘し、 学生によるポスター発表やナイトセッション(夕刻講義)、施設見学等を行う。
開催日:2020年8月7日(金)~8日(土) 場所:伊勢志摩国立公園 賢島の宿 みち潮

(4)(社)プラズマ・核融合学会「若手学会発表賞」への協賛

(核融合科学研究所 渡邊教授)
若手研究者の育成事業の一環として協賛を行う。

(5)国際学会等派遣助成事業

(事務局)
若手研究者の育成事業の一環として、国際学会等への派遣経費の助成を行う

(6)国際学会等支援

(事務局)
第13回核融合エネルギー連合講演会への後援 ※中止

新規:高温超電導技術の社会実装についての調査研究

(中部大学 奥野顧問/京都大学 長﨑教授/核融合科学研究所 柳教授)
Society 5.0社会の実現を目標とした高温超電導送電(SCDC)の電力インフラへ 適用に向け、中部大学で培われた超電導・直流送電システム技術を基盤として、 京都大学、核融合科学研究所の協力のもとにSCDCの技術的課題の整理と必要な 技術開発の現状についての調査を行う。

2.普及広報活動

(1)講演会および見学会の開催

協会会員等への情報提供活動の一環として、核融合をはじめ未来エネルギー関連技術についての講演会および見学会を開催し、 それに合わせて広報活動を積極的に行い、新規会員を勧誘する。

(2)協会誌の発行

協会の当該年度の活動成果(調査研究成果、研究会成果等)を要約し、会誌として発刊する。

以上